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【SS】メリー
「今、あなたの後ろにいるの」


メリー

-プロローグ-





緊張する。練習試合とはいえ、レギュラーに選抜されて初めての他校との実戦だ。
油断はできない。気を引き締める意味を込めて、靴紐をほどき、ぎゅっと結びなおす。
腰かけた段差が熱い。手の中に、じっとりと汗が浮かんでくる。
ぎゅっと拳を作り、ふと気づいて、口を開いた。
「……メリー?」
振り返る。片足を上げ、両腕を空中で静止させた少女が一人、背後に立っていた。
「なーんだ、ばれちゃったか」
てへっ、と舌を出す彼女。――彼女とは、本当にそのまま僕の彼女という意味であり、つまり言いかえれば僕の恋人であるところの芽里は、空中で静止させていた両腕をそのまま、僕の首に巻きつけてきた。
「お、おい、メリー」
二人きりの時ならともかく、人前で、こうも大胆に体を寄せられるとさすがの僕も照れてしまう。
「大丈夫だよ、誰も見てないから」
愉しげに笑い、そして一転、芽里はため息を一つついた。
「はぁ、ねえ、なんで分かっちゃったの?」
背後に密接する芽里の体に意識をとられて、何が分かっちゃったのかと聞き返しそうになったが、話の流れを思い出すと、つまり、なぜ芽里の背後からの接近に僕は気付いたのかと言いたいのだろう。
「いつも、お前が背後に立って気付かなかったことなんてあるか?」
「じゃあ、なんでいつも分かるの?」
指先で僕の頬を突つく芽里。
芽里はよく悪ふざけに足音を忍ばせて僕に近づいていたが、そのたび僕は、芽里が声をかけたり触れたりする前に彼女の存在に気付いていた。
理由なんてないだろう。ただ分かってしまうのは分かってしまうのだし、でも例えば背後に立っているのが芽里以外の誰かであれば、ぼくはその背後の接近にすら気づかないかもしれない。
それにしても、止めてほしい。さらりとした髪は僕の頬をくすぐり、耳元で心地よい声が響く。僕の理性にも限界というものがある。
どうにか平常心を装った声で、僕は答えた。
「なんだろう、なんとなく、かな」
「なんとなく、ねー」
不満そうに口を尖らせる。僕の見間違いで見当違いかもしれないが、けれどどこか嬉しそうだった。
「……試合、頑張ってね」
「あ、う、うん」
唐突な話題の転換に、僕は戸惑う。今の今まで、試合目前だということをすっかり忘れていた。
ほどよく緊張がほどけたようだ。それも、体の強張った僕への、芽里の小さな気遣いだろうか。
「頑張るよ」
悪戯な、けれど人一倍優しい僕の彼女に、笑みを浮かべて見せた。
ちゅっと頬に唇が触れ、体が離れる。
「ファイト」
満面の笑みで拳を作ると、彼女は身を翻し観客や応援の生徒の人混みに紛れていき、僕は赤い頬を誤魔化すように顔を拭うと膝を叩いて立ち上がり、フィールドへ向かった。
そろそろ、試合(ゲーム)開始、である。





あの有名な怖い話を元にした小説。まだプロローグ部分だけです。
いつか続き書こうと思いますが、とりあえず書いたところまであげておきます。
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【2010/01/27 23:07 】 | 未分類 | page top↑
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