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【SS】Who Are You? -02-
こっから本編

-01-

Who Are You?

-02-





僕が目を覚まして一番初めに感じたものは、体に感じる不安と心地なさだった。
意識が覚醒してやがて気づいたこと――僕は白衣一枚しか着ていなかったのである。
いわゆる、裸白衣というやつだった。
裸白衣で、机の上に、横になって寝ていた。
「…………」
裸エプロンは男のロマンというものであるが、しかし、マニアック度のあがったものであろう裸白衣、自分がやったところでちっとも嬉しくないものだ。
むしろ、気恥しい。
こんなところ誰かに見られでもしたら――と顔を上げた先、僕にとって都合の悪い場面に必ずと言っていいほど立ち会っている僕の悪友、みかたがいたのだった。
「…………」
この状況をどう説明したらいいものやら、いやもしかしたらみかたがこの状況を作り出したのではないか、などと思案を巡らせていると、
「やあ、おはよう」
と、まるで何事もないかのように、何気ない日常の一コマであるかのように、彼はやや口角を釣り上げて笑った。この笑い方がみかたにとってデフォルトなのである。
こんな裸白衣な状況が日常の一コマであることは否定したいしまったくもって避けたいところであるが、つまり大抵の人間がそうであるようにこのような状況に慣れていない僕がまず第一声に何を発すべきかと戸惑っていると、そんな僕の逡巡を読み取ったかどうか否かは知らないが、みかたは第二声を発した。
「説明しよう」
「お願いします」
さすが長年(といっても一年とちょっと)連れ添った友である。
「まず君の様子からみて、現在自分に起きていることが理解できないといった風だろう。状況のみを説明するならば、君はT大学理学部第三校舎三階第三実験室の机の上に仰向けで裸に白衣のみという奇抜な格好で眠っており、現在午後三時三十三分三十三秒に目を覚ました。君に言わせればきっと三ばかりで奇妙な偶然と取らざるを得ないかもしれないが、それは文学部の君のことだ、理系の僕から言わせれば、ああ、君には分からないし分かることもないだろうが、必然だったと言っておこう。ふむ、この状況を何というのだったかな、萌え……だったか。目覚めて纏っていたのは布一枚、目の前には美男子――もちろん、僕のことだが――がいた場合、それは事後かもしくはその後のフラグだと言えるのかもしれないが、しかし、話すと長くなるので置いておこう」
相変わらず説明のくどい彼だった。
「……で?」
「ふむ、経緯のほうか、それは実はこの僕でも把握しかねるのだが、発端を述べるのは容易だね。というか、君は覚えていないのかい? つまり、昨夜、僕の班の飲み会に君も参加したわけなんだが」
覚えていなかった。というか、記憶がなかった。昨日は夕方頃まで、確かいつも通りみかたの実験を手伝っていたはずだが、その実験内容もあやふやで、その後の記憶などまったくもってない。
「まあ、大体察しがついたかもしれないが、簡単に言えば、飲み会で君は酔い潰れて、そして僕が甲斐甲斐しくも介抱してやっていると……嘘だが」
嘘かよ。
「ふむ、おちゃめなジョークは置いといて、つまり、君は酔いつぶれたので放っておいたら、気づいたときには上裸で店を飛び出すところで、追いかけたが追いつかず――君は案外足が速いんだね――捜索したが見つからず、まあきっと君のことだ、心配ないだろうと皆帰ったわけなんだが、翌日僕がこうして大学に来てみれば、君はなぜか上だけでなく下も脱いで、しかし白衣だけを纏って机に突っ伏して眠っていたというわけさ。まあやはり、経緯は、知らないわけだが」
知りたくもない。上裸で店を飛び出し裸白衣に至る状況など、恐ろしくて考えたくもなかったし、それを考えること自体自傷行為だが、しかし、彼の言っていることの真偽もあやふやで、先ほどのことではないがみかたは平気で嘘を吐くので、彼がこの状況を作り出したのだという可能性も捨て切れたものではなかった。
「僕の責任ではないよ。君を見つけても、三時間起こさずに裸白衣で放置したままだったというのは、さすがに悪かったかもしれないが、しかし、僕は初め君を見かけたとき、まるで僕のためにそのような格好をしているのかと思ってしまったもので、我慢できただけでもよしとしてくれないか」
どっちにしろひどいやつだった。みかたは、僕の味方でも何でもない。
結局のところ、彼の言葉を信じるならば僕自身の失態でこのような状況に陥ったようだが、嘘をついていたところで記憶のないこと自体が自分の責任と言えなくもなかった。
「まあ、とりあえず、君は、その素敵な眺めをどうにかしたらどうかな」
みかたの視線にようやく自分が痴態をさらし続けていたことに気づき、僕は慌てて前を合わせた。
みかどは準備室に足を向ける。
「こっちにくるといいさ。着替えを用意している」
こういうところは、しかし、やはり長年(といっても一年とちょっと)連れ添った友人ならではの気遣いだろうか。
「下着はないがね。ズボンとシャツだけで我慢してくれたまえよ。たまにはノーパンでいるのも悪くはないんじゃないかい? ほんとは着るの手伝おうか? といいたいところなんだが、脱がせるのは得意でも、着せるのは苦手でね。それに、脱がせるといっても君、白衣しか着ていないし、それにだね、裸白衣とは、むしろ白衣を脱がせたら意味がないのであって」
「服だけ置いてさっさと出て行ってくださると助かります!」

Who Are You?-3-
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【2010/08/25 17:03 】 | 未分類 | page top↑
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