スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【--/--/-- --:-- 】 | スポンサー広告 | page top↑
【SS】Who Are You? -03-
どこで切ればいいのか迷った。

-01-
-02-

Who Are You?

-03-





今更だがみかたの容姿を説明しておくと、茶髪に碧眼、どういう血筋かわからないが本人曰くクォーターらしく、言動だけでは想像もつかないかもしれないがやや童顔寄りで、身長は僕より高いものの平均程、自称美男子だけあって人目を引く容姿であるのは間違いなく女性受けも良いのは事実らしいが、しかし、それも黙っていればの話で、中身は真実真底まで変態だと、心底思う。
重ねて言おう、口が裂けても言えるが、みかたは変態だった。
そんな変態となぜ一年以上もつるんでいられるのだろうと自分の物好き加減に呆れながら準備室から戻ってみると、間を置くことなく、いつものように突然に、唐突にみかたは話し始めたのだった。
「例えば心の葛藤と言うものは、一人相撲と言う人もいるわけだけれど、僕は戦争のようなものだと言っておきたいね」
何をいきなり、とおざなりな言葉をはさむのも馬鹿馬鹿しかったのでそのまま黙っていると、ふむ、と何がふむだか知らないがみかたは頷いた。ふむ、とは彼の口癖のようなものなのである。
「そもそも一人相撲とは神事の一つであるのだが、しかしそれは置いておいて、相撲と言うのは案外あっさりと決着のついてしまう場合がほとんどではないかな? 実際、まあ本人たちからしてみれば苛烈な戦いなのかもしれないが、しかし試合時間の観点から見れば大した長さでないのは確かだ。そんな一瞬で事の済んでしまうようなものに心の葛藤というものを例えるというのは、いささか配慮が足りないね。どうにも、僕はいただけない。一人相撲と例えるものの場合大抵は一朝一夕に決着が付かず膠着状態にあるものが多いだろう、例え片側が優勢であろうと中々負けを認めるのも勝ちが決まることもない状態ばかりじゃないか。負けじと取っ組みあっている様は、しかしそれはそれで心の葛藤と言えなくもないが、ふむ、なるほど、一人相撲というだけあって一人しかいないと逆に決着などつかないものかもしれないが、心の葛藤というものはなんだかんだで長期の末に決着の付くものもあるだろう。一人相撲なんて、そんな不毛なものではないさ。つまりそれって、やはり戦争とは言うのが一番正しいのではないかな?」
そこで、君はどうだい? みたいに見つめられても、今度こそ僕は、
「何をいきなり」
とおざなりな言葉を返すしかなかった。
「いや、こういうのは理系の僕より、一応こんなところで白衣を着ながらも文系である君のほうが得意なのではないかと思ってね」
その答えはやや論点がずれているだろうと思ったが、そもそもなぜいきなりそんなことを言い出したのかという質問自体、前述の通りみかたは思いつきで行動することが多いので、やはり馬鹿馬鹿しかったわけだった。
「むしろ僕は、みかたがなんで文系に行かなかったのかと思っているけども」
「ああ、実は僕、進路に心理学系と医学系と工業系と、それと化学系を考えていたのだけど、高二のとき授業選択の関係でそろそろとりあえずは理系か文系かに絞ってくれと泣き付かれてね、結局化学系に進んだわけなんだけれども。それにしてもどうして、心理学というのは理系じゃないんだろうね? 確かに、文系と理系の折衷のようなものだけれども、しかし、大抵が生理学や病理学、脳科学に関わるものじゃないか」
進路希望がわんぱくに旺盛すぎてみかたの担任の教師はさぞ苦労したことだろうと同情しつつ、そう言われたところで、心理学に属するものであるところの僕は、どう答えていいものやらわからなかった。
「まあ、それは置いておいて、例えば――昨夜の君ではないが、記憶喪失になったとしよう」
また唐突な例えだった。しかし、例えばと置いたところで、彼の場合必ずしも例えばでなく、先に述べた事と食い違うかもしれないが、思い付きだけでなく明確な意志があり、予定調和の発言であったりするわけで、つまり、あまのじゃくなのだ。
「専門的に言うと健忘だったか、医学部ではないからわからないが、そうすると意味が広義になってしまうのでやめておこう。記憶喪失の原因も症状も色々あるが、原因としては、今流行りの認知症は除いておくとして、一般的にアニメや漫画や小説でよく描写されるのは事故での外傷によるものだろう。症状も実際は多岐に渡るが、全生活史健忘――いわゆる、『ここはどこ? 私は誰?』といった状態が有名だ。そう、テンプレートとしてあるのは、主人公やヒロインの目の前で交通事故にあった彼やら彼女やらが、奇跡的に助かったものの病院で目を覚ますと自分のことも相手のことも覚えていなくて、周囲と記憶喪失による不和を抱えながら、最後には記憶を取り戻してハッピーエンド、そういったものではないかな。ミステリーなどになると記憶を喪失した人物が犯人の顔を見ていたという場合などもあるだろう。ふむ、まあ重要なのは記憶喪失の原因でも、記憶の内容でも、なんでもない。僕が言いたい、話の根幹としてあるものは――」
顔をあげて、まるで一人で気分良く喋っているような様子から、みかたは僕へ視線を投げた。
「――恐怖、だよ」
にやりと、例の気味の悪い笑みを浮かべている様は、それはデフォルトではあるのだが、やはり彼は真底――変態だ。

Who Are You?-4-
スポンサーサイト
【2010/08/25 17:09 】 | 未分類 | page top↑
| ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。